赤ちゃんからの咬合誘導

「哺乳」の大切さ

「哺乳」は、"お口の機能の向上" "顎の発育"、"良い歯並び"にとって、とっても重要な動作です。
「哺乳」の動作がどのようなメリットを"口腔の機能"と"歯並び"にもたらすのでしょうか。

「哺乳」は、赤ちゃんの栄養補給であることは言うまでもありませんが、「哺乳」"お口の機能を育て上げ"、また"顎の発育"、そして"良い歯並びを作る"ためにとても重要な動作でもあります。
「哺乳」は、"吸着"、"吸啜"、"嚥下"から成り立ちます。
…これを「哺乳の3原則」と言います。

哺乳の3原則

1吸着(きゅうちゃく)「パクッとくわえる」

「吸着」は、口唇と舌で乳首・乳輪部を捕らえ、密着状態を維持することです。
…「口輪筋」、「舌の筋肉」が鍛えられます。

2吸啜(きゅうてつ)「舌の動きで母乳を吸う」

「吸啜」は、舌の波動状運動によって乳首・乳頭を圧搾、吸引し母乳をしぼりだすことです。
…「舌の筋肉」、「咀嚼筋群」が鍛えられます。

3嚥下(えんげ)「ゴックンと飲み込む」

「嚥下」は、母乳やミルクを食道へと移送することです。
…「上咽頭収縮筋など嚥下に関わる筋肉」が鍛えられます。

※このように口唇や舌、顎の筋肉を上手に使って哺乳することは、栄養摂取はもちろんのこと、授乳後の離乳食摂取へのスムースな移行と、さらに顎への刺激による顎の発育、歯並びへの良い影響を与えます。また言葉を良く話すことできるようになることへの影響もあると言われています。

「鼻呼吸」の大切さ

「鼻呼吸」は口輪筋や舌の筋肉が鍛えられ、将来的にも良い影響を与えます。
実は「鼻呼吸」が習慣化していることが、乳児、幼児のこれからの歯並びにとってとっても良い影響を与えます。

「鼻呼吸」が習慣になっているお子さんは、お口の周りの筋肉(口輪筋)舌の筋肉が鍛えられており、上下の顎の発育に良い影響を与え、将来の歯が並ぶスペースが確保されます。

また、鼻呼吸が根づくと全身の健康にもメリットが大きく、風邪を引きにくくなったり、アレルギー、アトピー、喘息にもなりにくいです。

それでは、なぜ「鼻呼吸」が根づかず「口呼吸」になってしまうのでしょうか?

その原因のひとつに口輪筋が弱ことによりお口が閉じないためです。上唇を指でつまんでみると、とても薄いお子さんが増えてきていますが、これはお口の周りの筋肉(口輪筋)が日常の生活で使われていないためです。

原因は「離乳が早いこと」「現在、安易に物が食べれるようになっているため口輪筋が使われていないため」と考えられます。

ゴム乳首を上手に使用し口輪筋と舌の筋肉を鍛えましょう。

3歳までゴム乳首を使用しても骨が柔らかいために、上顎前突の原因にはならないと言われております。

むしろ、ゴム乳首を早期に使用しなくなることにより「口呼吸」が根付いてしまうことがあり、このために舌の位置が低く(低舌位)、舌の筋肉が弱いためにおこる顎の未発達や「口呼吸」による全身の健康上のデメリットがとても大きいのです。

赤ちゃんからの咬合誘導にとってとっても大切なことは、お口と舌の筋肉が鍛えられることであり、そのために「鼻呼吸を根付かせることがかなり大きなポイント」となります。

舌小帯短縮症

舌小帯短縮症をご存知ですか?
「舌小帯短縮症」は、咀嚼、嚥下運動が不十分となり、全身の発育にも悪影響がでるのみならず、発音、歯並びへも影響するため、できるだけ小さいうちに切っておきましょう

舌小帯短縮症とは…

「舌小帯」とは、舌の裏側と下の歯肉の真ん中の内側をつなぐ膜(帯)のようになったものです。「舌小帯短縮症」とは、この膜(帯)が極端に短く、舌の運動に自由性が失われた状態のことを言います。小帯が舌先になればなるほど、舌の運動が制限され、哺乳力が弱くなり、体重増加が悪くなります。そのために早めに切っておくという考え方があります。

症状

1舌が前に出ないので、哺乳しにくくなります。

2タ、ラ、サ行の発音がうまくいかなくなります。

3嚥下機能(物を飲み込む運動)が低下します。

4舌が嚥下運動時、上顎を圧迫することが少ないため、上顎の成長が不十分となり、歯並びにも悪影響を及ぼします。

5舌の運動が制限されるため、咀嚼運動が十分に行われません。

治療

軽度のものは治療の必要が無く様子をみます。舌小帯そのものは少しのびてきて外見上もわからなくなります。

※舌の先から5mm以下のものはのびてきても、年齢が上がるに従い舌小帯が太くなってきます。この場合は早めに切除をした方が良いです。

年齢が小さいほど、舌小帯が薄く切除時の出血が少く安全です。しかし年齢が大きくなってくると舌小帯が厚くなってくるため切除時の出血も多くなり、また切除しても再びくっつく傾向にあります。この場合は縫合が必要となります。

全国的に小児科医の意見としては、切らなくて良いという考えが多く見受けられますが、発音、嚥下、歯並びへの悪影響を考えますと切除をした方がよいと当歯科医院は考えております。

切除術

膜の中央部の薄い部分にはさみを入れます。奥の太くなっていく手前の薄く透けた部分のみ切除します。このことで切除後の再癒着を避けることができます。

切除は、切除に1分以内、止血に数分から30分ほどの簡単な処置です。切除後、1〜2日程度の多少の痛みと違和感が残りますがその後は炎症や痛みが続くことはほぼありません。

6歳までに身につけさせたい3つの習慣

良い歯並びのために身につけさせたい3つの習慣
乳歯はだいたい生後6か月くらいで萌出が始まります。そして2歳半くらいで萌出は完了し、乳歯列として上下の歯がしっかり咬み合います。そして6歳頃、最初の永久歯が萌出するまで乳歯だけの歯列として活躍します。この時代の習慣は口腔だけではなく、全身に多くの影響を与えます。

悪い癖:「指しゃぶり、口唇を噛む癖、つめを噛む癖、頬杖」が 歯並びに影響します

上下で合計20本の乳歯は「正しい姿勢、正しく噛む、正しく飲む」ということが守られると、悪い癖がなければ理想的に並びます。悪い癖は歯並びに大きな影響を与えます。たとえば"指しゃぶり"の癖は、つねに上下の歯の間に指が入っているため、そこにスペースができた歯並び、すなわち上下の歯が噛み合ない状態の歯並びになってしまいます。

このような状態を「歯列不正」と呼びます。また"口唇を前歯で噛む癖"、"つめを噛む癖"なども歯列不正につながります。

また、この時期の"頬杖"も大きな問題を惹き起こします。頬杖は日常的な習慣で、歯並びを外力で内側に押し込み、「狭い歯並び」になってしまうばかりでなく、顎の発育まで妨げます。すなわち、手からの外力が、下顎を奥に押し込むように加わるからです。

〈6歳までに身につけさせたい3つの習慣〉
①正しい姿勢、②正しく噛む、③正しく飲む

口腔、咽頭というひとつの空間をつつむ筋が前方から上・下唇内部の口輪筋、頬の内部の頬筋、そして咽頭収縮筋です。 これらの筋群を正常に機能させるためにはまず初めに「正しい姿勢」で食事をすることが必要です。猫背で食事をすると下顎が前方にずれ、前噛みになります。すなわち奥歯に食品をのせ、頬と舌で咀嚼するという基本が崩れてしまいます。

次に重要なことは「正しく噛む」ということです。一番「正しくない噛み方」は上下の唇が開いた状態で「クチャクチャ」噛むことです。これは悪習癖による歯列不正、なかでも上下の歯がきちんと咬み合っていない子どもに多くみられます。この噛み方も前噛みになりがちで、後方の歯列が狭くなり、姿勢まで崩れてきます。

最後に「正しく飲む」ということも重要です。「やや顎を引いて、上下の唇をしっかり閉じ、きちんと「ごっくん」とゆっくり飲む」これが正しい飲み方です。この飲み方によって"口輪筋"—"頬筋"—"咽頭収縮筋"が連動し、歯列の内部では"舌"がきちんと機能します。飲む時、下顎を上に少し上げ、上下の唇が半開きの状態で飲まないようにしましょう。

まとめ

この時期の食事は離乳食から始まり、軟らかいものが多くなります。しかし、だからといって楽に噛んで飲んではいけないのです。"正しい姿勢"で、"唇を閉じ奥歯で「もぐもぐ」噛んで"、"少し顎を引いて「ごっくん」と飲む"。乳歯列が完成する3歳までにこの習慣をきちんと指導し、小学校に入学するまでには、言わなくても自分の習慣となるように見守るのが重要です。

※正しい習慣を身につけるためには"正しい呼吸の習慣(鼻呼吸)"が根付いていることも大きく関連しております。

"おしゃぶり"の歴史

※"おしゃぶり"はもともと口呼吸を防止するために、ヨーロッパで考案されたものです。
お乳を吸う「吸啜運動」によって脳の血流がよくなり、咀嚼する力、噛む力の発達までうながされます。

おしゃぶりの効果

1おしゃぶりには、鼻呼吸を促進する効果があります。

半ば強制的に口をふさぐことで、鼻呼吸の習得がしやすくなります。
小児、乳幼児の口呼吸を改善するには、おしゃぶりが1番有効です。

2脳の神経細胞を活性化する。

おしゃぶりやお乳を吸う「吸啜運動」は、脳の神経細胞を鍛えて、言葉を覚えやすくします。

3咀嚼筋、表情筋を鍛える。

「吸啜運動」を十分トレーニングすると、咀嚼運動へと引き継がれ、離乳後しっかり噛めるようになります
おしゃぶりをくわえた時に口の真ん中に位置する為に、顔の左右が均等に呼吸運動をするので、顔の筋肉がよく発達し、表情も豊かになります

4アトピー、喘息が完治することもある。

「乳幼児のアトピー」、「小児喘息」の原因の1つとして、早すぎる離乳食、口呼吸が挙げられます。
噛む力が無い時期(授乳期間)に離乳食を与えると、噛まずに「丸のみ」することを覚えます。
そして、腸内環境が大人型となって、腸内細菌のバランスが崩れ、発症の引き金となります。
また、離乳食を早くから与えると、口で息をすることを覚えるため、口呼吸のクセがつきます。
乳幼児のアトピー、小児喘息が「おしゃぶりで鼻呼吸にすること」と「離乳食をやめ、42℃の乳児用のミルクを与えること」で完治した例もあります。

※「吸啜運動」…赤ちゃんが乳首を舌と顎を連動して吸う動きのこと。

おしゃぶりを長くしていると歯並びが悪くなる…!?

おしゃぶりを2〜3歳まで使用していると、一時期はわずかに歯の噛み合わせの隙間が生じますが、これは母乳を長く吸っている赤ちゃんにも起こります。
しかし、おしゃぶりの効果によってよく噛めるようになるので、噛んでいるうちに鼻呼吸がきちんとできていれば、4歳ぐらいまでには自然に矯正され、きれいな歯並びになります。

逆に早く外すと、口呼吸のクセがついてしまい、やがて歯並びが乱れる原因になることもあります。
また、おしゃぶりがないことにより"指しゃぶり"をしていまい、歯や顔の変形を招くこともあります。

※おしゃぶりが難しいお子さんの場合は、「ブリーズライト」などで鼻の通りをよくし、「口テープ」で鼻での呼吸を根付かせるという方法もあります。